本研究では、サイズを調整でき、大きさの揃った、しかも、高結晶性を有し、化学量論比が精密に制御された高性能ナノ粒子を高速で合成できる新規噴霧熱分解法を開発する。この方法の特徴は、噴霧液に原料物質とともに自燃性物質を添加する手法である。結晶促進および凝集抑制効果を持ち、残留物の残らない方法を考案し、反応場であるミクロン液滴の中における結晶成長を制御および促進するために、ナノメートルレベルでの伝熱を考慮した火炎を用いたプロセスを開発する。平成19年度には、火炎を高温場として、新規噴霧熱分解装置を製作した。原料溶液を噴霧発生器により、噴霧し液滴化させ、キャリアガスとして窒素または空気により管状型電気炉もしくは火炎中に導入した。モデル材料として、蛍光体材料のY_3Al_5O_<12>:Ce^<3+>および誘電体材料のBaTiO_3粒子である。捕集したナノ粒子を用いた成型体を作成し、それらの蛍光特性および電気特性を評価した。粒子を合成する条件と最適となるナノ粒子の特性を明らかにした。通常の電気炉(最高温度1500℃)に比べて、火炎ガスを用いた加熱により生成した粒子の結晶の方が促進された。実験と同時にミクロン液滴に対する伝熱および熱流体の数値計算を行い、エアロゾル(ガスと粒子)を加熱する工程が後の粒子結晶成長の過程が起きる加熱工程においても非常に重要な因子であることが示されている。
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