研究概要 |
固体塩基触媒として塩基性の高いCaO,固体酸として硫酸化ジルコニアについて,表面の耐水性および耐CO_2性を向上させる目的で,酸・塩基性質をあまり示さず,水に対して親和性のない酸化物での表面被覆を行った。表面被覆には,平成20年度に開発した,アルコキシドを無極性溶媒である酢酸エチルに溶解し、目的の水酸化物あるいは酸化物の表面の酸・塩基性質を利用してアルコキシドを分解するという合成法(表面ゲル化法)を用いた。 CaOの表面をTiO_2で被覆し,ジアセトンアルコールの逆アルドール反応をモデル反応として,塩基触媒性能を比較した。その結果,アルミナ被覆CaOと同様に,耐水性,耐CO_2性に優れ,かつ高活性な固体塩基であることが明らかとなった。 テトラエチルシリケートを被覆材料として,シリカ被覆CaOを合成した。テトラエチルシリケートは,空気中で安定であると同時に,酸または塩基で速やかに分解するため,被覆材料として優れている。しかし,シリカはCaOとの接合があまり良くなく,Caイオンの溶出を防ぐことはできなかった。一度焼成したシリカ被覆CaOを,再度シリカで被覆することにより,溶出を防ぐことができることが分かった。 CaOをジルコニアで被覆したところ酸性が発現し,エステル交換反応やアルコールの脱水に活性な触媒となった。一般的な共沈法や含浸法で調製した触媒では,酸性は発現しないことから,一層あるいは二層からなるジルコニアの特異な性質と考えられる。 硫酸化ジルコニアは固体超強酸であるが,硫酸イオンが水に溶出することが問題になっている。硫酸イオン溶出防止を目指し、硫酸化ジルコニアの表面をジルコニアで被覆したが,溶出防止効果は見られなかった。しかし,酸触媒活性は大きく向上することが分かった。
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