研究概要 |
本研究ではパラジウム(Pd)-アルキルアミン(Ln;n=4,8,12,16 n:アルキル基の炭素数)型錯体を粘土鉱物層間に固定する新規な方法によりナノ構造触媒を創製し、酸化反応に適用した。さらに、安定なパラウムPd(II)種の固定化を目指しで有機配位子を持たない[Pd(OH)_4]^<2->を層状無機アニオン交換体の層間に固定化した触媒も開発した。 1.Pd-Ln型錯体およびそのナノ構造触媒の合成と触媒反応性アルキルアミンとPd(OAc)_2からPd(Ln)_2(OAc)_2を合成し、これを触媒として用い空気を酸化剤としてベンジルアルコールの酸化反応を行った。すべての鎖長の触媒において30分で90%以上の転化率が得られ、炭素数12の触媒ではTOF=96h^<-1>となり、既報告の同様な均一系Pd錯体と比較して最高の活性を示した。ナノ構造触媒のPdLn/TN(0.2)(()内の数値はPd担持量(mmolg^<-1>))を用いて同条件で同反応を行ったところ、Pd種の凝集により均一系の反応に比べ活性の低下が見られた。担持量を1/10に下げた触媒では、錯体触媒の50%程度まで活性が向上した。よって、これらPd錯体を粘土鉱物に組み込んだナノ構造触媒では活性種の安定性に課題が残された。そこで、計画を以下のように修正した。 2.アニオン交換性Ni-Zn塩基性塩国定化Pd(II)錯体触媒(Pd/NiZn)の合成と触媒反応性アニオン交換性層状化合物であるNi-Zn複塩基性塩の層間内にアニオン性水酸化Pd(II)錯体を固定化した新規不均一系触媒(Pd/NiZn)を合成し、分子状酸素を酸化剤とするアルコール類の酸化反応を行った。反応後もPd(II)が安定に存在していろことをXAFS測定により解明した。1級、2級、アリルアルコール、脂肪族アルコールに対しても、幾分反応性は低下するが反応活性を示した。
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