本研究で検討している新触媒調製方法は、高温で担持物と担体とを不完全に反応させて、その触媒を還元して、担持させたい化合物を担体上に高分散させる方法である。平成19年度は下記の2項目について重点的に検討した。 1.新規Cu/Al_2O_3触媒の調製:(1)Al_2O_3上へのCu高分散担持する新しい方法として、含浸担持→高温焼成→低温水素還元を提案した。得られた触媒のTPR測定より、CuOがAl_2O_3担体と一部反応してスピネル型CUAl_2O_4を形成したとき、取り残されたCuOは高分散することを明らかにした。(2)新しい方法にて調製した触媒が従来の酸化物触媒に匹敵するCOシフト活性を示すことを見出した。また、種々の担体を用いて調製した担持Cu触媒では、Al_2O_3担体が最も優れていること、活性が担体の種類によらず金属銅表面積に依存することを明らかにした。 2.Cu/Al_2O_3触媒への遷移金属酸化物の添加効果:(1)Cu/Al_2O_3触媒にFe、Mn、Cr、Coなどの遷移金属酸化物を添加した触媒のCOシフト活性を調べたところ、CoOx、CrOx添加で低温(150℃)活性が大幅に向上すること、また、FeOx添加では高温(250℃)活性が向上することを見出した。(2)FeOxのレドックスは金属銅存在下では低温で円滑に進行することをTPR測定により明らかにした。この結果から、Cu-FeOx/Al_2O_3触媒のCOシフト反応活性の向上の理由は、金属銅だけでなくFeOxも活性点として働くためであると推定した。
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