研究概要 |
本研究課題は第1に分子篩機能を光触媒に付与するに必要な粘上の合成、第2に粘土LB膜作成、第3にLB膜への分子篩機能の創造、第4に水素結合応用リアクターの作成である。第3以外は既存技術があり、それらに準じて対応できる。まず、本課題研究の基本となる粘土potassium zinc aluminum silicate hydroxide(Zn-Mica)を合成した。Zn-Mica合或は水酸化カリウム(5.5moles)、硝酸アルミニウム(0.175moles)、硝酸亜鉛(0.605moles)、コロイダルシリカ(220g,SiO_20.66moles含有)を400mlのイオン交換水に溶解し、オートクレーブ中、150℃、1週間の条件で水熱合成して行った。調製したZn-Micaの結晶構造はX線回折装置で確認した。次に、既存の技術にない第3のLB膜への分子篩機能創造技術に関して、その基本となるミクロ孔作成のため、異なる濃度の塩酸水溶液を使用してZn-Mica含有のZn(II)を溶出する実験を行った。具体的には、0.1N、0.2N、0.5N、1.0N-塩酸水溶液を使用して溶出試験をした。その結果、1.0N塩酸水溶液ではZnのほぼ全量が溶出することが明らかとなった。同時にZnのほぼ全量が溶出した試料はZn-Micaの層状構造の大部分が破壊されることが明らかとなった。また、0.1N、0.2N-塩酸水溶液ではZnが部分的に溶出することおよびX線回折パターン強度は少し弱くなる現象が認められたが、層状構造は維持されることが明らかとなった。そこで、〜0.10N-塩酸水溶飲の前後の濃度で、さらに詳細なZn-MicaのZn溶出試験をした。用いた塩酸水溶液は0.025、0.050、0.075、0.100、0.125Nであった。ここで、各塩酸濃度におけるZn溶出条件は室温、溶出時間0.5、1、2時間で行った。この結果、0.075,0.100,0.125Nの塩酸濃度がミクロ孔作成に適しているとの指針を得た。次年度は第2,4課題との融合を図り、本研究課題の完成を目指している。
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