研究課題/領域番号 |
19560775
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
加藤 紀弘 宇都宮大学, 工学研究科, 教授 (00261818)
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研究分担者 |
諸星 知広 宇都宮大学, 工学研究科, 助教 (90361360)
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キーワード | クオーラムセンシング / 高分子ゲル / シクロー"キストリン / 高分子ナノファイバー / エレクトロスピニング / 細胞間情報伝達機構 / 包接複合体 / 高分子不織布 |
研究概要 |
日和見感染菌による病原性因子の発現プロセスでは、クオーラムセンシングと呼ばれる細菌間の細胞間伝達機構が利用される例が多く報告されている。緑膿菌やセラチア菌などヒトへの健康被害の大きいグラム陰性細菌では、アシル化ホモセリンラクトン(AHL)が細胞間シグナルとして生産され、病原性発現を制御している。これまでの感染症対策では、抗生物質投与により細菌を死滅させる手法がとられるが、時として薬剤耐性菌の出現を誘引し新しい感染症予防法が切望されている。本研究では、本機構を阻害すれば細菌は生存していても病原性発現のみを抑制可能であることを見出し、AHLのトラップにより本機構を抑制することを目指した。環状オリゴ糖シクロデキストリンはAHLと水溶液中で包接複合体を形成可能であることから"高分子担体を用いてシクロデキストリンを固定するなどし、AHLトラップ法を原理とする感染症予防材料を設計した。エレクトロスピニング法を用いて高分子不織布を合成可能である。また、熱誘導相分離法を用いてミクロ相分離した高分子ネットワークを構築し、セラチア菌、緑膿菌培養液中のAHLをトラップすることで本機構を抑制可能である。セラチア菌では抗菌物質プロディジオシン生産量で、緑膿菌では本機構により活性化されるlasB遺伝子のプロモーター下流にβ-ガラクトシダーゼをコードするlacZ遺伝子を配置した転写融合プラスミドを挿入したレポーター株を遺伝子工学的手法により作成し、β-ガラクトシダーゼ活性の低減量によりAHLトラップ法の効果を確認した。
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