研究課題/領域番号 |
19560782
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
松下 琢 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (10209538)
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研究分担者 |
上岡 龍一 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (70099076)
友重 竜一 崇城大学, 工学部, 教授 (90258640)
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キーワード | 幹細胞 / 形質転換 / がん化 / 培養担体 / ハイブリッドリポソーム / ハイドロキシアパタイト |
研究概要 |
再生医療では、ES細胞や幹細胞の利用が注目されているが、これらの細胞が培養中に、形質転換(がん化)を引き起こすリスクが指摘されている。これを防ぐためには、形質転換幹細胞を選択的に排除する方法の開発が必要である。そこで本研究課題では次の3点に焦点を絞り、重点的に研究を行った。 1、正常ヒト肝芽細胞の形質転換(がん化)の評価(松下) 昨年度までに、がん腫瘍マーカーPIVKA-II検査法、がん遺伝子(c-fos)のin situハイブリダイゼーション法に加えて、軟寒天培養法による形質転換評価の手法を確立した。今年度は、形質転換した肝芽細胞を用いて、PIVKA-II検査法と軟寒天培養法で同時に検査を行い、同様な傾向が得られることを確認した。 2、肝芽細胞のがん化(形質転換)の防止と機能発現に最適な培養担体の開発(友重、松下) 昨年度までに、材質としてはハイドロキシアパタイト(HAp)が良好であることを確認した。今年度は、その多孔質体表面の凹凸を制御した培養担体を作製し、特に細孔径分布の中で、直径約1μmのマイクロ孔が肝芽細胞のがん化防止と機能発現に重要であることを見出した。 3、がん化した肝芽細胞を選択的に排除するハイブリッドリポソームについての検討(上岡、松下)これまでに上岡教授は、正常細胞とがん細胞を識別して、がん細胞だけにアポトーシスを誘導するハイブリッドリポソーム(HL)を開発し、現在新しいがん治療薬として臨床応用を進めている。このHLを肝芽細胞の培養液に添加し、形質転換(がん化)した肝芽細胞のアポトーシス細胞死誘導について検討を行った結果、細胞増殖の定常期に0.3mMのHLを96時間処理することで、肝がん腫瘍マーカーのPIVKA-II産出速度を減少させ、軟寒天法によるコロニー形成率をほぼゼロにすることの再現性を得ることができた。これらの結果より、幹細胞のHApによる培養とHL処理により、形質転換幹細胞が撰択的に排除できる可能性が示唆された。
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