研究概要 |
下水処理場の濃縮スラッジより遠心分離と水洗浄によって活性汚泥菌を分取し、グルコース、アンモニア性窒素および無機塩類(Na,K,Mg,Ca,P)等を含む溶液に分散した。これにPVAゲルビーズを加えて常温にて3日間撹拌培養し、ゲルの細孔内にバクテリア等の微生物を選択的に担持させ、これを脱窒槽、硝化槽に10vol%加えてメタノール50mg/L、アンモニア性窒素50mg/Lおよび無機塩類等からなる人工排水を通液しながら脱窒槽は嫌気条件とし、硝化槽および全酸化槽は充分な通気によって好気条件として槽の馴化を行った。アンモニアの硝酸への酸化が確認された後、脱窒〜硝化循環を開始し、メタノールを水素供与体として硝酸を窒素ガスに還元した。脱窒〜硝化循環フローにおいてBODと窒素の同時除去速度を求めたところ、BOD除去では15mg/L/h、窒素除去では8.0mg-N/L/hと標準活性汚泥法よりも大きな速度が達成された。脱窒反応においてTOC ratioと脱窒速度との関係について検討したところ、TOC ratio1.5付近に最適値が存在することが分かった。また、流動層バイオリアクターにおけるゲルビーズ中の菌について、TEMによる観測結果から各層の菌叢はバクテリアが主体であり、BOD汚泥負荷を0.05kg/kg-MLSS以下にすることによって菌体はバイオフィルムを形成して凝集構造を取ることが明らかとなった。BODおよび窒素の除去率、除去速度が定常状態に達した後、発生する余剰汚泥を全酸化槽〜沈殿槽へと導入し、全酸化槽内のMLSS濃度を3000mg/L以上の高濃度に維持しながらリアクターシステム全体が定常的に運転可能なことが確認された。全酸化槽に入る微生物量と蓄積する微生物量を測定し、菌体量について物質収支を取ることによって汚泥が減容されることが明らかとなった。
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