研究課題
本研究は宇宙機表面の熱制御材として広範に使用されているポリイミドおよびFEPテフロンが低軌道宇宙環境要因である原子状酸素や紫外線によって劣化する場合に発生する反応生成物(分子コンタミネーション)の脱離・付着に関する現象を物理化学的側面から基礎研究を行い、実際の宇宙ミッションに直結したデータベースの構築を目指すものである。平成19年度は、主として実験装置の改良および新規装置の製作を行った。現状の原子状酸素ビームからバイプロダクツである極端紫外線を高精度に遮断する必要があり、そのために現有の高速紫外線チョッパーの改造を行った。現有モーターを米国グローブモーター社製の高速ACモーター(400 Hz)に変更し、それに応じてモーター取り付けジグ、冷却機構、円板の回転角度検出機構等の再構築を行いチョッパーの回転数を増大させることが可能となり、原子状酸素および紫外線のキャリブレーションを行うことで高精度な定量化に成功した。また、真空紫外線ソースとして172nm単一波長のエキシマ光を用いるが、IRD社製のフォトダイオードとシンチレーターにより定量分析を行った。また、ターゲット材料を設置するための温度制御式加熱炉およびターゲット材料からの反応生成物を捕獲するためにQCMを導入したコンタミネーション測定システムを新規に開発し、真空チャンバー内での動作確認を行った。来年度以降、この装置を使用して分子コンタミネーションの脱離・付着に関する分析を行っていく予定である。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (6件)
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