重金属汚染土壌の浄化へのEDTAと生分解性キレート剤であるEDDSの混合キレート系を使用してその浄化効果の評価をバッチ式ならびにカラム型実験装置を用いることで実施し、以下のような結果が得られた。 バッチ式実験による検討から、鉛汚染土壌を対象にEDTAとEDDSの混合キレート系による鉛除表性のキレート組成の影響、時系列変化、pH依存性について系統的に検討した結果、鉛の除去性は、EDDS単独の場合の鉛除去性からEDTA単独の場合の鉛除去性への直線的な変化が見られ、この傾向は反応速度ならびにいずれのpH領域においてもその傾向は同じであった。キレート組成は、鉛の除去性および難生物分解性のEDTAの使用量を削減する目的から判断して、EDDSとEDTAの組成比を8:2に設定することが最も適当であることが明らかになった。次に、初期汚染土壌pH6.8、EDDS:EDTA組成比8:2で鉛汚染土壌に対してカラム型実験装置を使用して通電実験(電圧:100V/m、土壌pHはほぼ中性になるように調整)を行った結果、前年度までに得られたEDDS単独による鉛除去性に比較して約2倍の浄化効率を達成することが可能であった。また、鉛浄化に与える鉄(III)およびCaの影響を前年度に引き続きより詳細に実験および解析を実施した結果、EDDSならびにEDTAの鉛除去性に与える鉄(III)およびカルシウムの影響を条件安定度定数の差分法により半定量的に説明できることを明らかにした。
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