研究概要 |
(具体的内容)イメージングの最終段階で必要となる波動方程式による散乱強度推定の処理に,波線追跡法および近軸波線を用いたフレネル帯推定法および重合前深度マイグレーション手法を適用した処理方法を完成させた。更に本研究の最終段階として,水槽実験によるイメージシグ実験に着手した。 (意義)波線追跡法の導入により,任意の弾性波構造に対する,本手法を適用した確固たる構造探査への道が開けた。更に,近軸波線を用いることにより,任意のに対しても,破線追跡さえできればフレネル帯を推定することができるようになつた。更に実験による実データへの本手法の適用により,手法の妥当性を検証することが可能となる。 (要性)波動を用いる探査法では,通常有限波長の弾性波や電磁波が用いられている。資源を対象とする探査において,解像力を求め周波数帯を高周波に広げる場合,目論んだほど解像力が得られないという結果に至ることが多い。ことの問題に取り組むため,フレネル帯の扱いが不十分であるためであるとする仮説を導入し,その検証を試みた。波動の走時を利用する手法では,有限波長の波であっても,周波数無限大で波長が無視し得るという仮定を置いており,波動の影響を見積もることがフレネル帯の概念導入に必要である。既存の手法を組み合わせ,任意の構造に対する弾性波の波線の屈曲を考慮することでフレネル帯に留意する散乱効果を取り入れることが可能であることが明らかとなった。結果として散乱理論をこれまで以上に丁寧に取り扱う探査の高精度化に繋がる基礎研究となった。
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