研究課題/領域番号 |
19560812
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐々木 裕 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (10128027)
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研究分担者 |
中里 裕臣 農業食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所, 主任研究官 (00373225)
井上 敬資 農業食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所, 研究員 (60414455)
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キーワード | 電磁探査 / 導電性地盤 / 比抵抗 |
研究概要 |
まず最初に、1次元フォワード計算に基づく感度解析を行って、小型ループ・ループ電磁法の探査特性を調べた。小型ループ・ループ電磁法は周波数を変えることで探査深度を変えることができるとされている。しかし、感度解析によると、離相成分は周波数に関係なくほぼ同じ深度で感度のピークを示しており、周波数を低くしたからといって探査深度が増加するものではないことを示している。特に比抵抗が100ohm-mあるいはそれ以上の地盤では同相成分の感度が0であるため垂直探査(Sounding)はほぼ不可能である。比抵抗が10ohm-mあるいはそれ以下の地盤では同相成分において感度のピークが深い深度で現れるので、同相成分が測定できれば垂直探査は可能であることが明らかになった。 次に、電磁探査装置EMP-400の特性を把握するため、九州大学内のグランドで電磁探査を実施した。同じ地点で電気探査も行ったが、それによると調査地点での比抵抗は深度約3m以内では150-250ohm-mであった。定点において繰り返し測定を行ったところ、最大で約800ppmのばらつきが見られた。これはオフセット誤差(システムノイズ)ばかりでなく、外部電磁ノイズが強いことを示している。データを平均し測定高さと二次磁場信号との関係を図に表すと、離相成分については理論的に予想される関係とほぼ一致したのに対し、同相成分ではやや隔たりが見られた。これは、調査地の比抵抗では同相成分の信号はほとんど0であるため、オフセット誤差と外部ノイズが卓越したことによると考えられる。オフセット誤差を考慮したインバージョンにより求められた比抵抗値は電気探査により求められた比抵抗範囲内に収まった。この実験結果から、外部ノイズが強いところでもデータをスタッキングすれば妥当な比抵抗値が求められることを確認した。 さらに、千葉県内の廃棄物処分場において電磁探査および電気探査を実施した。電気探査によると平均比抵抗は10ohm-m程度である。この調査地は比抵抗が極めて低いため、前記の実験とは異なり、強い二次磁場信号が観測された。特に離相成分では最大で約20000ppmに達した。同相成分では大きな負の値が得られ、オフセット誤差の存在は明白であった、オフセット誤差を考慮したインバージョンの結果は電気探査の結果とおおむね一致したが、測定値と計算値の合致度は十分に小さいものではなかった。この原因として、外部電磁ノイズのほかに、埋設されている金属類の透磁率が影響している可能性が考えられる。
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