アルミナ(平均粒子径0.5μm)をモデル粒子として用いて、高分子電解質(ポリカルボン酸アンモニウム)を添加して、スラリー中で粒子を塊状に凝集させることを試みた。高分子電解質の添加量と粒子濃度を系統的に変化させてスラリー調製を行い、調製したスラリーの重力沈降挙動を比較することによって、塊状粒子形成に及ぼす影響を検討した。その結果、粒子濃度に関しては極めて薄い5ppmまで、適当な高分子電解質添加量を選択することによって、粒子を塊状に造粒可能であることが明らかとなった。さらに、重力沈降時に非常にクリアーな清澄層が確認されたため、造粒されずに溶液中に残存する一次粒子はないことがわかった。高分子電解質添加量に関しては、添加量が比較的少ない領域では、溶液中の高分子電解質濃度よりも単位粒子質量あたりの高分子電解質添加量が重要な制御因子となるが、塊状凝集が発生する比較的高分子電解質添加量が多い領域では、溶液中の高分子電解質濃度がある臨界値を下回ると、粒子を塊状凝集させることが難しくなることが明らかとなった。スラリー調製時の攪拌条件の影響について、攪拌時間や攪拌速度が塊状凝集体形成に及ぼす影響についても検討したが、攪拌条件については明確な影響が見られなかった。 塊状凝集体を形成しているスラリーについては、重力沈降後に形成された堆積層の充填率が比較的高く、堆積層は傾けると瞬時に流れ出すほどの高い流動性を持っていることが明らかとなった。
|