研究概要 |
リデュース,リユース,リサイクルの3Rを通じて,資源の消費を減らし,環境への負担の少ない循環型社会を構築することが必要である.リマニファクチャリングは製品の製造時において発生する環境インパクトを効果的に減少させられる可能性がある.リユースの対象となる製品または部品をリユースユニットと呼ぶことにすると,その物理寿命の長期化を設計段階において考慮することは重要である.しかし,リユースユニットの機能面での陳腐化を考えると,必要以上に長い物理寿命を設定した設計は,たとえリユースを前提とした長寿命設計であったとしても,逆に環境インパクトを増加させてしまう恐れがある.そこで本研究では,リユース対象ユニットに設定する物理寿命分布,機能寿命分布およびリユース回数が環境インパクトに及ぼす影響を定量的に評価可能な数理モデルをもとにして,どのような物理寿命分布と機能故障分布が環境インパクトを最小にするのかを,確率分布関数の最適化問題として考察することによって,エコデザインに関する指針を導くことが目的である. 従来の研究において,リユースユニットの物理故障と機能故障に関する確率分布の存在を仮定したもとで,部品リユースを伴う製品の循環において発生する,単位時間あたりの環境インパクトを導出し,それが最小となる物理寿命の平均値,変動係数,および最大リユース回数に関する考察が行われている.しかし,このモデルでは需要を一定とし,確率分布の形状と歪みが最適解に及ぼす影響を考察していない.そこで今年度の研究では,製品の製造,回収,リユース,廃棄に至るまでに発生する環境インパクト,リユースユニットの在庫,および需要関数を考慮したもとで,環境インパクトに関する数理モデルを再帰式で表し,最適な物理寿命分布について分布の形状と歪みを変化させたもとで考察した.
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