研究概要 |
リユース対象ユニットに設定する物理寿命分布,機能寿命分布およびリユース回数が環境インパクトに及ぼす影響を定量的に評価可能な数理モデルをもとにして,どのような物理寿命分布と機能故障分布が環境インパクトを最小にするのかを,確率分布関数の最適化問題として考察することによって,エコデザインに関する指針を導くことが本研究の目的である.今年度における実績の概要は次の通りである. 1.昨年度における研究では,環境インパクトが最小となるようにリユース部品の物理寿命分布に関する基本的な統計的性質にっいて考察したが,リユース部品の在庫に関してはとくに考慮していなかった.そこで今年度での研究ではリユース部品の在庫を考慮した数理モデルを構築したもとで,リユース部品の最適な物理寿命分布について調べた. 2.最適な物理寿命分布を実務において利用することを考えると,コストの要素を取り入れる必要がある.昨年度の研究では環境インパクトを計算する際にコストは考えていなかったが,今年度の研究ではコストに関しては制約条件として,かつ環境効率を評価関数としてリユース部品の最適な物理寿命分布について考察した. 3.リユースを伴う工業製品が循環していく様子のシミュレーションが可能なソフトウェアをマルチエージェントモデルによって実装した.またパソコンの本体を対象にして,このソフトウェアを用いたもとでの結果を得た.実装したソフトウェアはパソコンの本体だけに限らず,多様な部品で構成される他の工業製品にも適用可能であると期待される.
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