研究概要 |
バイオディーゼル燃料(Bio Diesel Fuel,以下BDF)は油と低級アルコールに、KOHなどの強アルカリ均相触媒を作用させたエステル交換反応により合成されている。しかしこの方法は、1)劇物である強アルカリの取り扱いが面倒である、2)回分操作ゆえ処理量が低い、3)反応終了後に溶液中からの触媒除去工程が必要である、などの問題が存在する。これらの問題がBDFの販売価格の高さに反映し、BDF普及の阻害要因となっているのが実状である。 本研究では、海産廃棄物として排出される貝殻とMgOおよびZrO_2を媒体ボールミルを用いて複合旨化し、その塩基性粉末を触媒とした流通式反応器によるBDF量産化技術の確立を目指す。 平成19年度では、水酸化ストロンチウム水和物と酸化カルシウム粉を粉体物として、遊星ボールミルを用いてメカノケミカル粉砕を施すことで、混和性のよい粉体物を得ることができた。そして、これを電気炉にて焼結処理することで高活性バイオディーゼル合成触媒を調製することができた。これらの酸化ストロンチウムを主触媒とする基礎検討結果を踏まえて、触媒成分をコーティングした酸化ジルコニア球担持触媒を調製した。この触媒の調製では、上述の粉体物のメカノケミカル処理物と径が3mmのジルコニア球を遊星ボールミル内で1時間処理し、ジルコニア球表面を水酸化ストロンチウムおよび酸化カルシウムでコーティングして1100℃の条件下で焼結することで、膨潤層型反応器の使用に適した高密度、高活性の触媒を調製することができた。
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