研究概要 |
本研究では、原子・分子レベルでの固体-固体複合化や粉体表面の活性化が可能なメカノケミカル(MC)法を用いてバイオディーゼル燃料合成用CaO-MgO触媒を調製し、各条件で調製した触媒の反応活性について検討した。 まず、MC効果の有無を確認するために、CaOとMgOの混合粉をMC処理したものと、MC処理せずそのまま触媒として用い、菜種油-メタノールの基質混合液に投入して実験を行った。MC処理物は未処理物と比較して著しく反応活性が高くなり、MC処理の効果が確認された。 次に反応挙動に及ぼすMC処理時間の影響について検討した。触媒の調製法としては、CaOとMgOのモル比が1:4の混合粉を原料として、遊星ボールミルを用いて所定時間MC処理した。MC処理時間が長い触媒ほど反応開始時間が早く反応速度も高くなった。これはMC処理の効果により触媒活性の高いCaO-MgO複合面が生成したためと考えられる。また、MC処理3時間ではCaOのみのMC処理物と同様の反応挙動を示し、CaO-MgO複合金属酸化物が高い触媒活性を持つことが示された。 粉末CaO-MgO触媒を成型利用することを想定して、MC処理後の粉末を種々の温度で焼結して調製した触媒の反応活性について検討した。焼結温度が500,600,700℃では反応活性に差異は顕れないが、800℃では反応速度が有意に遅くなる現象が観察された。これは、MC処理により現れた表面エネルギーの高い活性点同士が結合して、比較的安定な表面構造に移行したためと考えられる。また、各焼結温度処理物表面をFT-IRで観察したところ、800℃処理物のCO2の吸収ピークがシャープで、その他の温度処理物ではブロード状となった。これより焼結温度が低いと表面構造がアモルファス様であることが示唆された。
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