研究課題/領域番号 |
19560828
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
李 継全 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (00437253)
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研究分担者 |
岸本 泰明 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (10344441)
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キーワード | プラズマ閉込め / 安定性と乱流 / 帯状流モード / 乱流輸送 / アルフェン波 / ジャイロ流体モデル / 簡約化MHDモデル / シミュレション |
研究概要 |
5場のジャイロ流体モデルに基づいて、時空間スケールの異なったマクロスケールの揺らぎである抵抗性ティアリング(MHD)モードとイオンスケールの揺らぎである乱流ITGモード乱流の非線形相互作用の詳細をシミュレーションと理論により解析した。シミュレーションでは、共鳴面近傍ではほぼ同じ空間依存性を持つが、境界近傍の周辺では異なった空間構造を持つ二種類の磁場平衡配位(一方は、周辺磁場がゼロであり、他方は半径方向に増大する)を用いて両者の結果を比較した。両者共に、MHD揺動あるいはITGモードの一方が強く励起される場合は、非線形結合を通して他方のモードの成長が加速されることが分かった。 さらに、ITGモードが弱い場合でも、MHDモードが存在すると強い帯状流が励起され、そのときの帯状流は振動特性を示すことを見出した。このとき、帯状流の振動とともに、MHDモードによる磁気島も振動することが分かった。この磁気島の振動は、抵抗性ティアリングとITGモードの相互作用によって生成される磁気トルクの振動によるものであり、また帯状流の振動は磁場とプラズマとの凍結条件を通して磁気トルクに起因することが分かった。帯状流の振動は特、帯状流によるイオンの熱輸送の抑制効果を弱めるため、マクロなMHDモードとミクロな乱流との結合は熱輸送抑制の観点からは好ましくない状況をもたらすことになる。 一方、MHDモードが強い場合は、ITGモードは磁気再結合を伴ったMHDモードの磁場構造の影響を強く受け、MHDモードを伴わない通常の磁場配位におけるITGモードの成長率を上回る新しいITGモードが現出することが新たに分かった。この新しいITGモードは異なったポロイダルモード数が互いに結合して成長率の同じ大域的な構造を示すことが分かった。また、初期にMHDモードとITGモードが同じレベルの成長率を有する場合は、両者のモードが競合しながら間欠的な挙動を示すことが分かった。 これらのシミュレーションで見出されたMHDモードとITG乱流の複雑な非線形ダイナミックスを理解するため、線形理論に基づく解析を進め、MHDモードによる磁気島と有する平衡磁場のもとでの新しいITGモードの存在を明らかにした。
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