本研究は反射計を用いてトムソン散乱計測装置の較正を行うことを目標としている。本年度は昨年度に続いてベイズ推定法を用いた解析手法の開発を行い、さらなる深化をはかった。また昨年度検討設計を行った密度較正のための反射計をLHD装置に取り付けることを目標として製作を行った。 まず昨年度検討を行った逐次的ベイズ推定法による解析について本年度は、有効性を確かめ細部の問題点を洗い出すために反射計によって得られるデータをモンテカルロシミュレーション法によって疑似データを生成することによってテストを行った。その結果、反射計の計測データにS/N比で1相当のかなり大きな誤差が含まれている場合であっても、20-30回のトムソン計測と反射計による同時分布計測を行うことによって十分な較正が行えることを示すことができた。さらに逐次的ベイズ推定法を用いた場合ベイズ推定法によらない単純な平均法で解析を行った場合に比べて半分以下の測定回数で、より精度の高い較正値が得られることを確かめた。 次にFM型反射計の開発を行った。反射計はトムソン散乱計測装置の設置スペースに取り付け可能なように架台は真空ゲートバルブに直接設置可能な形式とした。反射計の性能を確認するためにターゲットを用いてテストを行った。その結果ターゲットの位置に相当した信号をえることができ反射計として基本性能を有することを確認した。しかし高速で周波数掃引すると信号に異常が見られた。原因はターゲットからの反射波以外の別の場所からのマイクロ波の回り込みが大きいためと考えられる。今後の課題をして、この回り込みを抑制すべく引き続き改良を行っていく予定である。 ベイズ推定法による解析とFM型反射計の基本設計に関する論文はReview of Science Instrument誌にて発表を行った。
|