研究概要 |
1)ウラン汚染物中のウランの化学形態調査 ウラン廃棄物について調査を行った。その結果、UF_6ガスを吸着したNaF及び汚染鋼材,廃液処理等で発生したCa系殿物等があること、NaF吸着剤中のウランはNa_3UO_2F_5として存在し、鋼材に付着したウランはUF_4であることがわかった。また、Ca系殿物の主成分は硫酸カルシウム及び水酸化カルシウムであり、ウラン含有率は0.46wt%であることが判明した。 2)ウラン汚染物溶解用塩化コリン系イオン液体の選定 ウラン汚染物からウランを溶解させるための塩化コリン系イオン液体を選定するため、塩化コリン+尿素(1:2の共融混合物,m.p.12℃),塩化コリン+マロン酸(1:1の共融混合物,m.P.:10℃),塩化コリン+フェニルプロピオン酸(1:2の共融混合物,m.P.:20℃)を対象に、NaF中ウラン及びUF_4の溶解性を検討した。その結果、塩化コリン+尿素系で、100℃において処理することで、NaF中ウランを約60%、UF_4を約40%溶解しうることがわかり、本系を溶解媒体の候補として選定した。 3)溶解したウランの化学形態及び電気化学的研究 NaF吸着材及びUF_4を溶解させた塩化コリン+尿素系の吸収スペクトルの測定から、NaF吸着材から溶出したウランは[UO_2Cl_4]^<2->で、UF_4を溶解した系ではUO_2Cl_2(L)_x(L=尿素)の形態で存在することが示唆された。また、ウランを含む塩化コリン+尿素系のサイクリックボルタモグラムを測定した。その結果、NaF吸着材及びUF_4を溶解した系では、-0.8V付近(vs.Ag/AgCl)に非可逆な還元波が見られ、U(VI)のU(IV)への還元反応であることがわかった。これより、-0.8V以下の電位で電解することで、ウランをUO_2として回収しうることが示唆された。
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