研究概要 |
1. 検出器システムを構成するにあたり,シンチレーターの種類および配置を決定するためモンテカルロシミュレーター(GEANT4)を用いた解析を行った.その結果,コンプトン散乱体として直径2インチ×厚さ5cmのプラスチックシンチレーターと吸収体として直径2インチ×厚さ5cmのNaI(TI)を40cm離して設置した場合が,擬似散乱イベント(間違った角度導出イベント)を減らすことができ,目標とする5度の角度分解能を実現できることが明らかとなった. 2. シミュレーションによる結果から,最小構成の検出器をくみ上げ実験的な検証を行ったところ,エネルギー分解能6.4%(Cs-137;1σ),角度分解能4.3度を達成できた.このときの検出効率は6.9×10^<-5>(90度散乱時)であった. 3. 導出された散乱角からガンマ線飛来位置を同定するための描画システムを構築した.その際,3つの円錐の重ね合わせによる方法(3点一致法)と一つの円錐による円を全て投影する方法(プロジェクション法)の2つを考案したが,分布線源への対応を考え後者を主に用いることとした. 4. 以上の基礎的検討を踏まえて,1つの散乱体を8個の吸収体が囲む形の直径80cm球のプロトタイプ検出器を作製し,大強度照射施設にて実験的に評価した.その結果,大強度時のデーターでは角度分解能は若干悪くなり,8.1度となった.これは強度が増えたための偶然同時計数増加による疑似散乱イベントによるものと考えられる. 5. 今後は,より小さな検出器の開発と角度分解能の向上およびリアルタイム描画システムの開発を目指して研究を行う.
|