研究課題
本年度は、重イオンビームパルスラジオリシスの改良及びナノ秒時間領域での吸収分光測定と重イオン誘起初期反応機構の解析手法の確立を行った。(1)イオンビームパルスラジオリシスの改良と高機能化:イオンビーム照射時、微小領域での吸収測定に対して、X線ノイズなど影響が大きい問題を解決するために、サンプルセルとシンチレータの設置法の改良を行い、光吸収分光測定には光ファイバーを利用した新たな光測定系を導入し、微小なシグナルの検出を目指した高S/Nの測定システムを開発した(2)イオンビーム照射システムの改良:日本原子力研究開発機構・高崎研TIARAの協力の上、イオン入射系に新たな高性能のPチョッパーを製作し、大気中で照射可能なイオンビーム照射システムの改良を行った。これにより、時間分解吸収分光測定が高速化でき、測定の再現性の向上もつないだ。さらに、イオンビームのパルス化と安定化により、多種のイオンビーム(C^<6+>、He^<2+>、Ne^<8+>、H^+)のイオンビームパルスラジオリシスの測定が可能となった。(3)重イオンビームパルスラジオリシスによる中間活性種の挙動の測定手法の確立:イオンビーム照射システムとイオンビームパルスラジオリシスの改良と高機能化により、平成18年度は、ナノ秒時間領域でのC^<6+>とHe^<2+>イオンビーム照射によって、ピレン塩化メチレン溶液中生成されるピレンカチオンラジカルの過渡吸収の測定に成功した。測定した過渡吸収挙動を低LET放射線(電子線)誘起により初期過程と比較し、高密度励起のモデル化等と通してナノ秒時間領域での重イオン誘起初期反応機構の解明を行った。
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