研究課題
本年度は、前年度の研究成果を発展させ、重イオンビームパルスラジオリシス時間領域の拡張と多種イオンビーム(C^<5+>、He^<2+>、Ne^<8+>、H^+)誘起初期反応機構の測定法の確立を行った。(1)パルスラジオリシス時間領域の拡張:イオンビームパルス照射時、パルス当たりイオン数の変動が光吸収分光測定のS/N比の劣化となり、再現性の良い測定が困難である。この問題を解決するために、イオンビームがサンプルの上に設置されたシンチレーターを照射する際、発生した光(サンプルに対して反対方向の発光)を光電子増倍管により測定し、パルスラジオリシスの分析光強度変化に対する補正方法を考案した。これにより、微小なシグナルの検出を目指した高S/Nの測定に成功し、パルスラジオリシスの時間領域の拡張と再現性の良い測定方法を確定した。(2)多種イオンビーム誘起初期反応機構解析手法の確立:日本原子力研究開発機構・高崎研TIARAのイオン入射系にPチョッパーを導入し、500Hzの繰返しでシングルイオンパルスの取り出しに成功した。これにより、高精度に時間分解吸収分光測定ができ、測定の再現性の向上にもつないだ。さらに、イオンビームのパルス化とパルスラジオリシスの分析光強度変化に対する補正法の適用により、多種のイオンビーム(C^<5+>、He^<2+>、Ne^<8+>、H^+)パルスラジオリシスの測定が可能となった。(3)重イオンビームの高度利用への展開多種のイオンビーム(C^<5+>、He^<2+>、Ne^<8+>など)や低LET放射線(電子線)の誘起初期過程を比較し、高密度励起のモデル化等と通して重イオン誘起初期反応機構を解明し、高度利用への展開を行った。
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