研究課題/領域番号 |
19560843
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
誉田 義英 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (40209333)
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研究分担者 |
西嶋 茂宏 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00156069)
秋山 庸子 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50452470)
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キーワード | 陽電子 / 角相関 / AMOC / 燃料電池 / 電解質膜 / 劣化 |
研究概要 |
陽電子消滅法において、陽電子寿命と消滅γ線のドップラー拡がりを同時に測定するAMOC法は、陽電子の消滅過程をより詳しく調べるための有効な手法である。本研究ではドップラー拡がり測定に代えて、より高い分解能を得ることができる2次元角相関を用いる方法を検討してきた。本研究の特徴はシンチレータから位置情報と時間情報を別々のフォトマルで得ようとするところにある。本年度は実際に角相関型のAMOCで陽電子寿命、角相関が検出できるかの予備実験を行った。この結果、シンチレータ側面に設置したフォトマルからの信号レベル小さく、そのままではエネルギー弁別できなかったが、アンプを介することで陽電子寿命スペクトルを測定することができた。しかし計数効率は低く、時間分解能も満足できるものではないため、今後さらに検討を進める必要がある。一方、位置情報の検出に関し、γ線の入射位置による差異は検出できた。分解能については今後調べる予定である。 これまで調べられているテフロン系の電解質膜とは別に、親水性官能基密度の異なる炭化水素系高分子電解質膜(s-PEEK)を合成し、その自由体積評価および官能基の電子状態評価を、陽電子消滅寿命測定法およびドップラー拡がり測定を用いて行った。その結果、スルホ化することでオルソポジトロニウム寿命は減少したが、スルホ化の程度でその差は見られなかった。一方、消滅γ線のドップラー拡がりはスルホ化の程度が進むと拡がる傾向を示し、プロトン伝導度とも相関があることがわかった。これらのことから陽電子がスルホ基近傍で消滅しており、プロトンの伝達機構とも密接に関係していることがわかった。このような陽電子消滅過程とプロトンの伝達機構との関係を明らかにするため数値計算を行い、陽電子の消滅過程の変化から考えられる電解質膜の構造変化に関する考察を行った。
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