研究課題/領域番号 |
19560844
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
渡辺 幸信 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 准教授 (30210959)
|
研究分担者 |
緒方 一介 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (50346764)
|
キーワード | 重陽子 / 核データ / Li / 連続状態離散化チャネル結合法 / 光学ポテンシャル / 分解反応 / 加速器中性子源 / IEMIF |
研究概要 |
本研究では、高強度連続スペクトル中性子源反応としてLi(d、n)反応を取り上げ、連続状態離散化チャネル結合法(CDCC法)を用いた理論解析により、中性子生成に大きな寄与が予想される重陽子分解過程を含む核反応機構を解明する。まず、主要反応チャネルである弾性散乱に着目した。CDCC計算に必要な陽子と中性子それぞれと標的核間の光学ポテンシャルを、過去の陽子や中性子散乱実験データや^6Liの中性子光学ポテンシャルに基づいた解析により決定した。このポテンシャルを用いた光学模型計算は、5MeV〜50MeV入射エネルギー領域における弾性散乱微分断面積、中性子全断面積、反応断面積をよく再現した。Li(d、d)弾性散乱のCDCC計算を行い、断面積の大きな前方角放出に対して50MeVまでの領域の実験データを良好に再現できた。重陽子分解過程が弾性散乱に与える影響を調査し、前方角より後方角放出に影響があり、それを考慮することで実験値との一致が改善できることを示した。次に、(d、pn)重陽子分解反応のCDCC計算を行い、40MeV入射のLi(d、xn)反応実験結果と比較した。前方角放出の中性子エネルギー分布の形状は計算でよく説明できるが、絶対値は大きく過小評価することがわかった。現行CDCC計算の核組では、入射重陽子が核力やクーロン場で分解し、陽子と中性子が放出されて標的核の状態は基底状態に残される反応(弾性分解反応)しか取り扱えていない。陽子ストリッピング反応による中性子放出成分が考慮できていないことが不一致の原因の1つと考え、この成分を予測するためにグラーバー理論による計算を行った。その結果、陽子ストリッピング反応による中性子生成断面積が全中性子生成断面積の約2/3を占め、主要な反応過程であることを見出し、CDCC計算の実験との不一致の原因を特定することができた。
|