研究課題
本研究の成果は、以下の2項目である。(1)1価・2価・3価イオンが混在した模擬廃棄物に対するイオン分離・固化に成功した(2)Cs^+・Sr^<2+>の固化体であるCs_xTi_8O_<16>(ホランダイト構造)SrTiO_3(ペロフスカイト構造)単結晶の放射性物質固化体としてのフィジビリティを確認した。以下、それぞれの項目に関する詳細を述べる。(1)現実の放射性廃棄物を模した模擬廃棄物(Cs^+、Sr^<2+>、La^<3+>を含む混合酸化物)をモリブデン酸溶融塩に溶解したのち、マトリックス材料として酸化チタンを加え、定電流条件下での電気分解を試みた。その結果、模擬廃棄物中に混在していた三種類のイオンが、陰極表面に、La^<3+><1.5>_TiO_3(欠損ペロフスカイト構造)、Sr^<2+>TiO_3、Cs^+_xTi_8O_<16>の順に単離・析出してくることが判明、溶融塩電解法が現実の放射性廃棄物の分別固化に対して有効であることが確かめられた。(2)溶融塩電解法によって合成されたCs_xTi_8O_<16>・SrTiO_3単結晶固化体それぞれに対して、150℃の熱水条件下でのリーチングテストを行った。その結果、比表面積で換算して、それぞれの材料が、従来報告されている多結晶固化体とほぼ同等のリーチ耐性を示すことがわかった。今回リーチングテストに用いられた単結晶固化体の比表面積は、ガス吸着法により、それぞれ約0.29、0.51m^2/gと決定された。この値は、単結晶固化体の育成条件を最適化することにより、ひとケタ以上低下させることができることから、単結晶固化体は、従来報告されている多結晶固化体に比べ、高いリーチ耐性を実現できることが示された。以上述べた研究結果から、溶融塩電気分解に基づく放射性廃棄物の分別固化法が、現実の放射性廃棄物処理に対して有効であると結論できる。上記結果は近々、投稿論文の形で公表される予定である。
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Nova Science Publishers Inc.
ページ: 17-23