研究課題/領域番号 |
19560847
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
矢板 毅 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (40370481)
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研究分担者 |
塩飽 秀啓 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (10222043)
岡本 芳浩 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (70370369)
鈴木 伸一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (60354841)
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キーワード | DHAO / 第三相 / 溶媒抽出 / ウラン / トリウム / TODGA / 中性子小角散乱 / 逆ミセル |
研究概要 |
本研究は、湿式再処理などのウランおよびプルトニウムあるいは高レベル廃液処理などにおけるアメリシウムなどの溶媒抽出分離において問題となる第三相生成に関するメカニズム解明およびその生成制御に関する方法論を検討するため、溶媒抽出実験および中性子小角散乱法などの手法を駆使することにより、溶液中逆ミセル系凝集体の生成挙動の観察を目的としている。第本年度の研究では、まずモノアミド(DHOA:ジヘキシルオクタナミド)-Th(IV)-ドデカン系の抽出実験および目視による第三相生成曲線の生成曲線を作成した。前者の第三相生成条件は、硝酸濃度が0.1-0.2mol/Lでは、抽出前の水相中トリウム濃度が約50-20g/Lという高濃度で、はじめて第三相の生成が確認された。また硝酸濃度0.2〜0.7mol/Lの条件下では、トリウム濃度が8〜9g/L程度から第三相生成が確認された。また、原子炉を発生源とする中性子を用いる小角散乱実験においては、トリウム濃度が2g/Lを超える領域から凝集状態を示す数の分子数が、抽出種に存在している可能性が示唆された。また、ジアミド(TODGA:テトラオクチルジグリコールアミド)-Nd-オクタン系においても抽出実験および目視による第三相生成曲線の生成曲線を作成した。 TODGA-Nd-オクタン系では硝酸濃度0.5〜1mol/Lの領域では、Nd濃度が5g/Lを超える領域で、1mol/以上の領域では、Nd濃度約2g/L程度でも4g/Lを超える領域で第三相の生成が確認された。パルス中性子を用いる小角散乱法により凝集体中の数について検討した結果、概ね4分子のTODGAが関与していることが示唆された。凝集体中のTODGAの数から求められる臨界ミセル濃度は、概ね硝酸濃度2〜3mol/L程度であることが明らかとなった。この結果は、浸透圧および表面張力の変化から求められる臨界ミセル濃度とほぼ一致した。
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