研究概要 |
マイクロ機器の電源に用いるDMFC(直接メタノール形燃料電池)はシステムの簡素化のために,ポンプを用いず自然給気により空気を供給し作動させる方法が検討されている。しかしDMFCの解決すべき課題の一つである燃料として用いるメタノールのクロスオーバー(電解質膜内の透過)によりカソードへ透過したメタノールがそのままオフガス中に含まれて大気に放出される可能性がある。平成19年度は,大気開放を模擬させたi-NA(Induced Natural Aspiration)空気供給装置を試作し,カソードへ供給される空気量の計測とオフガス中の排出未燃焼メタノール濃度を計測し,供給する空気の燃料に対する比率や未燃焼メタノールとアルデヒド排出レベルなど基本的な特性を把握した。この結果,メタノールの排出量は,通常の作動条件(例えば5wt%メタノール水溶液使用,電解質膜厚175ミクロン使用,作動温度40℃など)で,作業環境基準の許容値である300ppm前後の排出があること,メタノールとアルデヒドの排出は,クロスオーバーするメタノール量と大きな関係があること,クロスリークしたメタノールを酸化させるための必要量以上の空気が供給されても未燃焼メタノールとアルデヒドの排出は残存することなどを明らかにした。また,カソードの触媒機能を高めることで軽減することなども確認できた。 以上の結果を踏まえて,平成20年度では,カソードの触媒機能強化によるメタノールとアルデヒドの排出軽減を中心に研究に取り組む。また,停止放置中のまたノール排出特性と性能劣化発生有無の確認にも取り組む。
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