研究課題/領域番号 |
19560852
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
小貫 薫 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, リーダー (10355018)
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研究分担者 |
田中 伸幸 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究職 (10391294)
前川 康成 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, リーダー (30354939)
浅野 雅春 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (50370341)
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キーワード | 熱化学水素製造法 / ISプロセス / 放射線グラフト重合法 / 高分子電解質膜 / ブンゼン反応 / 硫酸 / ヨウ化水素 / ヨウ素 |
研究概要 |
熱化学法ISプロセスは将来の大規模水素製造技術の有力候補である。ISプロセスに対して、陽イオン交換膜を備えた電解セルを用いてブンゼン反応及び生成物分離を行う方法(膜ブンゼン反応)を導入することにより、ヨウ素循環量の低減、機器構成簡素化、ブンゼン反応生成物の高濃度化など、プロセスの大幅な改良が期待できる。一方、研究分担者は独自の放射線グラフト重合及び架橋技術により耐熱性、耐薬品性に優れた高分子電解質膜の作製技術を開発している。この方法では、イオン交換容量やグラフト鎖の種類などを変えてプロセスに応じた膜の最適設計を行うことが容易であり、膜ブンゼン反応における操作電圧低減などの課題解決に役立つ可能性がある。そこで、昨年度、放射線法で作製した膜を用いた予備検討を行い、反応による硫酸及びヨウ化水素の生成を確認し、膜ブンゼン反応への適用性を確認した。 本年度は、膜特性の最適化を検討した。ETFE膜を基材膜、MeStあるいはtBuStをグラフトモノマーとして前照射・後グラフト法により電解質膜を作製し、陽極液に二酸化硫黄を飽和した硫酸、陰極液にヨウ素を溶解したヨウ化水素酸を用いた反応実験を行い、放射線法で作製した膜は従来膜に比べて電気抵抗を最大1/2程度に低減できることを見出し、膜ブンゼン反応に必要なエネルギーが削減できることを明らかにした。また、分離性能の指標である輸率について、MeSt、tBuStを単独でグラフトした膜に比べ、両者を混合してグラフトした膜において最も高い値が得られることを見出し、グラフト条件の最適化により分離性能の高性能化が可能であることを明らかにした。
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