研究概要 |
本研究の目的の一つに,非線形システムの局所構造を生かした制御系設計法の構築が挙げられる.非線形システムに対する制御系設計において,制御Lyapunov関数は重要な役割を果たす.特に小入力特性は制御則が連続になりうるか否かを判別する重要な性質であるが,どのようなシステムが小入力特性を満たす制御Lyapunov関数を持つかは,これまでほとんど研究されていなかった. 過去の研究では,Sontagらによって制御Lyapunov関数を持つ非線形システムに対する制御系設計法が提案されている.しかし,これらの制御則は,同次(あるいは線形)な制御システムに対して同次(あるいは線形)な閉ループ系を構築しない.また,これらの制御則は収束速度を保証しない.さらに,非同次非線形システムに対して,収束速度を保証した制御則は提案されていない. 個々の同次システムに対してはいくつかの同次漸近安定化制御則が設計されているが,一般の同次漸近安定化制御則は構築されていなかった.また,同次システムに対する最適制御問題は,一入力の場合しか考えられていなかった. 19年度は,入力アファインな同次システムに対する同次制御Lyapunov関数は常に小入力特性を満たすことを示した.さらに,同次制御Lyapunov関数を持つ入力アファインな同次システムに対して,同次漸近安定化制御則および同次逆最適制御則を設計した.提案した制御則は,収束速度を保証する. 20年度は,以上の結果を踏まえて,非線形系の局所構造を生かす制御則の構築を目指す.
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