本年度行ったスカイサーファーを用いた種別個体数推定を含め、過去8年間に形成された24個のコロニーの個体群動態を解析した。その結果、茨城県全域のおけるサギ種6種の種構成と総個体数には、過去8年間で大きな変動はないものの、個別の種やコロニーに関しては個体数に大きな変動が検出された。特に近年のアオサギの進出と個体数の増加は目覚ましく、一方でアマサギとコサギの減少が顕著であった。絶滅危惧種とされるチュウサギは最も個体数が一番多かった。8年間存続した2000羽規模の大コロニーは3つだけで、他のコロニーは点々と移動する傾向があった。これらの研究結果について個体群生態学会で発表し、現在投稿論文を執筆中である。 本年度は昨年度の反省から、捕獲標識をチュウサギに絞り、40羽ほどの個体に識別を行った。また標識調査と平行し、繁殖最盛期(6月~7月)に1つの大規模コロニー周辺の餌場を隈無く調査し、採餌個体の空間分布を調査した。その結果、サギ類が利用する餌場(水田、蓮田、水路)の空間配置に大きな変化はなく、同じ餌場を季節が進むにつれ水中から陸上へと餌場を替え、餌種の変化に対応していることが分かった。現在調査結果を投稿論文にまとめている。また、チュウサギの標識調査については、来年度においても東京大学との共同研究を継続する予定である。 また本年度は上記の標識個体の巣について採餌行動も撮影に挑戦し、その方法論についてまとめて、動物行動学会にて発表を行った。この内容についても現在論文を執筆中である。
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