研究概要 |
本研究では互いに近縁で雌雄同体と雌雄異体の種類から成るハゼ科ベニハゼ属,イレズミハゼ属,シマイソハゼ属の配偶システムと系統関係を明らかにした.ベニハゼ属アオギハゼ,オヨギベニハゼ,カスリモヨウベニハゼ,イレズミハゼ属4種の配偶システムを飼育観察により明らかにした.その結果,アオギハゼは一夫多妻,オヨギベニハゼはランダム配偶,カスリモヨウベニハゼは縄張り雄が複数のつがいになる縄張り訪問型一夫多妻であぶれた雄はスニーキングにより繁殖に参加した.アオギハゼは雌性先熟,オヨギベニハゼは雄性先熟,カスリモヨウベニハゼは雌雄異体で体長-有利性モデルに適合している.またイレズミハゼ属4種は一夫一妻であった.mtDNAによる系統解析では雌雄異体であるシマイソハゼ属から雌雄同体のベニハゼ属とイレズミハゼ属が派生したことが明らかとなった.さらにベニハゼ属の中でアオギハゼ,オヨギベニハゼ,カスリモヨウベニハゼが単系統群を形成した.このことから雌雄異体?雌雄同体?雌雄異体の順で進化したことが示された.
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