平成21年度は、琵琶湖および河川型Genarchopsis goppoに加えて、日本各地の約6水系から得られたG.goppoの分子系統解析を行い、琵琶湖産の個体群は日本各地のどの個体群よりも古くに分岐したことが示唆された。しかし、琵琶湖のヌマチチブの原産地と推定される霞ヶ浦のサンプルが未入手であるため、まだ琵琶湖型G.goppoが真に固有種かどうかの結論は得られていない(本年度に解析を実施する予定である)。 宿主のカワニナ類の一部(約30個体)について核ITS-1領域にヘテロ配列を持つ個体ののサブクローニングを行った。現在までに、戻し交雑と推定される個体は得られているが、雑種第一代と決定されるものは発見できていない。 以上の未解決点は、引き続き平成22年度からの課題(基盤研究(c)「琵琶湖固有カワニナ類の系統進化および二次交雑が吸虫感染耐性に与える影響」での課題として取り上げ、雑種個体の存在の検討と、それらの個体の寄生虫に対する感受性について研究を進める予定である。
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