研究概要 |
春日山原始林(世界文化遺産、国指定天然記念物)域の照葉樹林群集に大きな負荷を与えている外来種(ナギとナンキンハゼ)の侵入・拡散とシカの食害という二つの生物的要因の相互作用を、野外実験系の設定とモニタリングによって解明するために,2007年9,月に,シカが立ち入らない柵を設置する実験モニタリングサイトを春日山原始林に構築した(文化庁および奈良県・市の調査許可申請済)。モニタリングサイトは,外来種(ナンキンハゼ)除去・非除去区×シカ有・無区の4パターンを1セットとして,1パターン5m×5m実験区を6カ所に構築した(ナンキンハゼとナギそれぞれについて3回の繰り返し)。さらに,コントロール区(ナンキンハゼとナギが生育していない20m×20m)にも,シカ有・無区1カ所を構築し,生育する草本および木本種と個体数,直径および樹木を記録した。同時に,シカによるドングリ(堅果)採食圧を量的に明らかにするために,ツクバネガシを親木とするドングリの生残実験のための防鹿柵を3カ所に設置した。 今後,年3回程度の追跡調査により,種数および個体数の変動を明らかにする予定である。現在,実験区設定後,1年を経過していないために,この実験系のデータはまだ得られていない。 さらに,シカおよびネズミに関する情報を得るために,自動撮影装置を10カ所に設置した。フイルムにはシカ,ネズミ,イノシシ,鳥類が写っており,現在,森林使用頻度のデータを解析しているところである。
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