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2009 年度 実績報告書

照葉樹林の植生動態に対するシカと外来植物の影響と生物多様性保全に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19570028
研究機関大阪産業大学

研究代表者

前迫 ゆり  大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (90208546)

研究分担者 名波 哲  大阪市立大学, 理学研究科, 講師 (70326247)
神崎 護  京都大学, 農学研究科, 准教授 (70183291)
キーワード照葉樹林 / 防鹿柵 / 外来樹木 / 生物多様性 / シカ-外来種-森林実験系 / ナギ / ナンキンハゼ / 実生動態
研究概要

2007年秋に設置した防鹿柵で得た二年間のデータを解析し,2009年度日本生態学会で口頭発表した。外来樹木ナギとナンキンハゼ実験区でその効果は異なるものであったが,共通していることは,林床植生の種数及び植被率に顕著な変化はみられないことである。さらに実験を継続することにより変化することを期待するが,シカの森林への影響が100年以上にわたっており,また密度も極めて高い状態(20-30頭/Km^2)が続いていることから,数年という短い期間では森林回復(多様性及び構造など)は困難であることが示唆された。柵の有無(P, NP),外来樹木の有無(C, NC)の組み合わせで4パターン(PxC, NPXC, PxNC, NPXNC)を1セットとして,ナギ実験区(100m^2)3ヵ所,ナンキンハゼ実験区(100m^2)3ヵ所,外来樹木を含まないコントロール実験区(800m^2)での木本実生動態を解析した。その結果,ナギ実験区では,クリッピングとシカ柵効果によって,コジイの死亡率(2年間)が有意に低い結果が得られた。シカがあまり採食しないクロバイ,イヌガシ,ウリハダカエデなどでは有意差がみられなかった。その一方,クリッピングしたナギの萌芽再生能力が顕著で,死亡率がきわめて低く,今後もナギが照葉樹林に拡大することが十分に予測された。ナンキンハゼ実験区では,クリッピング効果はみられなかったが,柵効果は若干みられた。ナギ同様に,ナンキンハゼに再生能力は高かった。コントロール実験区ではツクバネガシの死亡率が高く,ブナ科の実生に対しては,防鹿柵の効果がみられた。クリッピング及び防鹿柵による組成的な変化は乏しく,森林の多様性を回復するには,時間がかかるため、さらに継続的な調査を続ける必要がある。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 世界遺産春日山照葉樹林のギャップ動態と種組成2010

    • 著者名/発表者名
      前迫ゆり
    • 雑誌名

      社叢学研究(社叢学会発行) 8

      ページ: 60-70

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Morphological and population responses to deer grazing for herbaceous species in Nara Park, western Japan2009

    • 著者名/発表者名
      Ryo SUZUKI, Teiko KATO, Yuri MAESAKO, Akio FURUKAWA
    • 雑誌名

      Plant Species Biology 24

      ページ: 144-155

    • 査読あり
  • [雑誌論文] カメラトラップ法による春日山照葉樹林の哺乳類と鳥類2009

    • 著者名/発表者名
      前迫ゆり
    • 雑誌名

      大阪産業大学人間環境論集 9

      ページ: 79-96

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 森とシカの生態学的問題をめぐって2009

    • 著者名/発表者名
      前迫ゆり
    • 雑誌名

      関西自然保護機構会誌 31

      ページ: 39-48

    • 査読あり
  • [学会発表] 春日山照葉樹林防鹿柵実験区における木本実生群集の動態2010

    • 著者名/発表者名
      前迫ゆり・名波哲・神崎護
    • 学会等名
      第57回 日本生態学会大会
    • 発表場所
      東大(駒場)
    • 年月日
      2010-03-16
  • [備考]

    • URL

      http://www.due.osaka-sandai.ac.jp/~maesako/research.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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