研究概要 |
研究開始当初ゲノムに含まれるプロモーターのマッピングとしてはシロイヌナズナが最も進んでいたが、それでも、実験的にプロモーターをゲノムワイドに同定する、という研究は行われていなかった。本研究の目的としては、単一のcDNAライブラリから転写開始点タグ調製することで転写開始点ごとの発現解析を行えるような系をセットアップすること、タグクローンの配列を吟味し確実に転写開始点タグのみを含むようなタグコレクションを確立すること、転写開始点タグを大量収集することで一つの遺伝子あたり数十のタグを同定し、転写開始点クラスターの分布をはっきりさせ、複数の転写開始点クラスターを持つ遺伝子群をオルターナティブプロモーターとして浮き彫りにすること、が挙げられる。 代表者が開発した高速シークエンサーを用いた転写開始点の大量同定法をシロイヌナズナに適用し、16万もの転写開始点タグを同定した。この解析結果を統計解析することで、植物コアプロモーターの多様性を初めて解明できた。16万の転写開始点タグは24,453の転写開始点クラスター、すなわちプロモーターとして認識されその過半数はこれまで知られていなかったものである。そのうち、10,285のプロモーターが9,627の遺伝子(CDS)に関連づけられ、差分の658がプロモーターを複数持つ遺伝子として同定することができた。この結果は代表者らが作成した植物プロモーターデータベースppdbにより検索可能である
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