平成20年度は、タバコ培養細胞BY-2から調製したミオシンVIIIの運動活性の有無を検討した。平成19年度に確立させた、ニワトリ胸肉から調製したF-アクチンを用いた共沈法によって得られたミオシンVIIIを含む画分を、ハイドロキシアパタイトカラムにより分画した。この時点で、ミオシンXIをほとんど含んでいない画分を得ることが出来た。更にこの画分をDEAEセファセルイオン交換カラムにかけ、ミオシンVIIIを含む画分を調製した。ガラス表面にミオシンを固定させるin vitro運動再構成系を用いこの画分の運動活性を調べたところ、F-アクチンが0.5〜3μm/sec、平均1.5μm/secの速度で滑り運動した。滑り運動を示すF-アクチンの頻度は、ミオシンVIII抗体を用いて、このミオシンをこの画分からある程度除くことによって著しく減少した。しかし、ミオシンXI抗体をコントロールとして用い同じように処理した場合には、頻度の減少は観察されなかった。従って、タバコミオシンXIと比較すると滑り速度は5分の1以下であるが、ミオシンVIIIにも運動活性があることが示唆された。 最近ミオシンVIIIが細胞表層の小胞体ネットワーク近傍に局在することが示され、ネットワーク形成への関与が示唆された。しかし、ミオシンXIとミオシンVIIIを含んだin vitro小胞体チューブ形成系を用いて、チューブ伸長におけるミオシンVIIIの関与を検討した結果、ミオシンXIとは異なりミオシンVIIIは小胞体チューブ伸長には関与しないことがわかった。
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