研究概要 |
分化は、細胞が機能的にその祖先の細胞と異なった性質を獲得する過程である。葉の細胞の分化過程では茎頂メリステムからの何らかのシグナルを受けて、葉の分化因子と多くのクロマチン関連因子が互いに相互作用し、分化状態の維持と継承がなされていると考えられる。我々は、これまでに、シロイヌナズナのAS1とAS2遺伝子が、葉の分化初期過程で、葉の細胞の分化状態を維持しつつ、表側化の極性の確立に関わることを明らかにした。AS2は、核内の核小体のまわりの特定の領域に局在する結果がえられている。また、AS1も核に局在するが、AS2と共に、核小体のまわりの特定の領域に塊状に局在する。我々は、このようなAS2の塊状の局在をAS2bodyと命名した。このような核局在にはAS2/LOBドメインが必要である。さらに、核小体のまわりの塊状の局在には、AS2/LOBドメイン内のC-motif(CX_2CX_6CX_3C)の配列が必要である事を明らかにした。C-motif内の4つのシステインと塩基性アミノ酸の配列は、AS2bodyの局在に必要であることも明らかにした。C-motifはAS2/LOBファミリーのメンバーでは、極めてよく保存されていることから、AS2/LOBファミリーのメンバーに共通の機能にかかわる可能性がある(Matsumuraetal.,Plantc J.2009)。
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