細胞周期チェックポイントとは、DNAが損傷を受けたり複製の過程で何らかの障害が生じた際に、一時的に細胞周期の進行を止め、修復などの措置を行うための機構である。本研究では、シロイヌナズナの塩楠諺6遺伝子の解析を中心として、高等植物の細胞周期チェックポイントやDNA損傷応答機構で働くいくつかの重要な遺伝子の機能を明らかにした。 1AtRad26遺伝子の欠損株(rad26)と損傷チェックポイントにかかわるAtATR遺伝子の欠損株(atr)のとの2重突然変異株atr rad26を作製し、DNA損傷や細胞周期阻害剤に対する反応を解析した。その結果、rad26およびatr rad26変異株はatrと同様に、紫外線やガンマ線、ヒドロキシウレアなどに対して感受性を示し、AtRad26とAtATRとの強い関連が示唆された。 2細胞周期のG1/M期のマーカーであるCycB1:1:GUS遺伝子を用いて、DNA損傷や細胞周期阻害剤を与えたときの細胞周期の状態を観察した。その結果、rad26およびatrバックグラウンドにおいては、ガンマ線処理後におけるGUS活性の蓄積量や蓄積の持続性が弱く、G1/M期におけるチェックポイント反応が正常に働かなかった。このことから、AtRad26遺伝子のチェックポイント機構への関与が強く示唆された 3AtRad26のcDNAを酵母転写因子のDNA結合ドメインまたは転写活性化ドメインのコード領域の下流に組 4高等植物がDNA損傷をうけた際に、チェックポイント機構に連動して損傷DNAの複製を行うREV7遺伝子群の解析を行い、REV遺伝子群の作用により酵母細胞及び植物細胞内で突然変異が生じることを明らかにした。
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