研究概要 |
平成19年度はマウス胚肺上皮への遺伝子導入法の確立を目指して実験をおこなった。CMVプロモーター+GFP遺伝子の発現ベクターを作製し,これを用いて肺上皮へ効率良く遺伝子導入する方法を検討した。 1、GenePORTERトランスフェクション試薬(Gene Therapy Systems 社)ならびにLipofectamineLTX試薬(Invitrogen社)を用いて,リポフェクションによる遺伝子導入を試みた。どちらの試薬でも肺上皮組織にGFP発現細胞は全く認められず,平行しておこなった肺間充織細胞ではGFP発現細胞が高頻度で認められた。リポフェクション法は簡便であるが,インビボに近い状態の肺上皮組織に遺伝子導入することは困難であるとの結論を得た。 2、エレクトロボレーター(BTX 社 ECM830)を購入し,エレクトロポレーションによる遺伝子導入を試みた。どのタイプの電極が適当かは難しい選択であるが,今後の汎用性を考慮して,キュベット型電極を使用することにした。キュベット型電極はそのままでは容量が大き過ぎるため,整形した絶縁性シリコンラバーを電極間に挿入し,必要なDNA溶液量を約10μlにまで削減した。電気パルスの電圧,長さ,回数の組み合わせを変え,いろいろと試してみたが,電圧に関しては30〜35Vが必須であり,これより低いと導入されず,高いと細胞が死ぬことが判明した。 現時点でのエレクトロポレーションによる導入効率は10%位であり,平成20年度はさらなる改良を加えて50%超にする計画である。
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