1.p53欠損マウス卵管由来の上皮・間充織細胞株の共培養実験から、運命未決定型上皮細胞株を卵管繊毛型細胞に分化誘導する間充織細胞株を同定し、その分化決定に関与する拡散性因子(fstl-1)を単離した。また運命未決定型上皮細胞を成体の卵管上皮と同様な形態に分化誘導できるモデル系の確立に成功し、卵管の部位によって間充織細胞の誘導能が異なることを明らかとした。 2.p53欠損マウス膣由来の上皮・間充織細胞株の共培養実験から、上皮の多層化誘導能を有する、および有しない間充織細胞株を同定した。膣多層化誘導に関与する遺伝子の探索を行い、7つの候補遺伝子を得た。 3.p53欠損マウス舌由来の上皮・味蕾・間充織細胞株を用いて立体構造組織の構築に成功した。現在構造物の特性化を行っている。 4.p53欠損マウス胎仔歯胚由来上皮細胞株の歯胚形成能を高めるために、(1)クローン株の混合、(2)前処理培地に添加して種々の増殖因子の効果、を検討した。しかし高率化は得られなかった。 5.p53欠損マウス胎仔の口腔粘膜上皮細胞株を樹立した。遺伝子発現解析の結果、口腔粘膜上皮細胞マーカーの発現を確認した。さらに歯胚形成能を検討した結果、6株中5株に形成能を確認した。 6.p53欠損マウス胎仔の歯胚間葉から多数のクローン性株細胞樹立を樹立した。まずPECAM発現を指標として血管内皮細胞株(30%)を除外し、残りの70%の細胞株にっいてさらに歯小嚢マーカーであるf-spondinの発現の有無により2グループに分類した。更に解析を進め歯根膜細胞株、セメント芽細胞株、歯槽骨株等の同定を試みている。 7.p53欠損成体マウスの歯肉上皮細胞株の樹立を樹立した。遺伝子発現解析の結果、歯肉上皮細胞マーカーの発現を確認した。さらに歯胚形成能を検討した結果、8株中2株に形成能を確認した。
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