研究概要 |
アクチン結合タンパク質lasp-2は,類似したドメイン構造をもつlasp-1が様々な組織に分布するのに対して,脳で多く発現している(Terasaki, et. al.,2004)。本研究ではニワトリのDRG(=dorsal root ganglia;脊髄後根神経節)を材料にして,lasp-2の成長円錐内における局在や動きを,免疫染色およびGFP融合タンパク質の導入により詳細に観察した。 免疫染色ではフィロポディアやラメリポディアへの局在が見られ,特にP-domainではフィロポディアに沿ってドットが連なって局在していた。また,エンドサイトーシスに関与するdynamin-1や接着斑の構成成分であるzyxinなどと結合することが知られている(Li e tal.,2004)が,lasp-2とこれらタンパク質が共に局在する領域も見られた。 GFP-lase-2は免疫染色に類似したフィロポディアやラメリポディアへの局在に加えてドット状の蛍光が見られた。ドットの挙動は成長円錐内の領域に関連しており,[1]ドットがその場で動かない(C-domainおよびフィロボディアの付け根)[2]ドットが現れその場で移動することなく10秒弱で消失(C-domainT-zone)[3]ドットが短い距離(2 ̄3μm)を移動した後に消失(T-zone ̄P-domain)[4]リング状の構造(直径1 ̄2μm)を形成したのちに消失(C-domain ̄T zone)[5]フィロポディア上を移動して消失(P-domain),などが挙げられる。 また免疫染色によりアストロサイトの突起先端にもlasp-2が多く局在することが示されたことから,グリア細胞(アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリア)まで広げてlasp-2の機能を探っていく必要があると思われる。
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