研究課題
ある動物の同一網膜上に、異なるスペクトル帯域に対して最大感度を示す視細胞を持つ場合、これらの視細胞は色弁別に利用されていると考えられてきた。また、過去30年間の研究から、発光生物の種内の視覚コミュニケーションでは、発光スペクトルと光受容器のスペクトル感度が見事に対応することが明らかにされてきた。甲虫では、緑のスペクトル光でコミュニケーションを行う種が多く知られ、その典型的な例としてホタル類を挙げることができる。我々は、網膜電位図法と細胞内記録法を併用し、夜行性のゲンジボタルの複眼が発光に対応する緑色部(570nm)に高いスペクトル感度を持つことを明らかにし、加えて、紫外部(380nm)のスペクトルにも応答を示すことを発見した。夜行性の本種がなぜ紫外線を受容する必要があるのだろうか。日没後、本種は3時間ほど発光によってコミュニケーションを行う。室内の実験アリーナに雌雄のホタル10-20個体を放し、緑および紫外線のみの光を照射した環境下で、赤外光下で、行動を観察した。緑の光が照射された場合、ホタルに行動変化は観察されなかったが、紫外線が照射された場合、1分以内にホタルは歩行を停止した。緑色光と紫外光の両方のスペクトル光を同時に照射した場合も歩行を停止した。夜行性のゲンジボタルでは、光コミュニケーションに関係しない紫外光を行動制御に用いている可能性が示唆された。これらの結果から、ホタルにおいて色弁別ではなく特定波長光依存性行動があることが示された。
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