研究概要 |
1.タマネギバエの温度較差反応のしくみを解明する タマネギバエの羽化は温度周期において、低温相から高温相に移行する直前に行われ、羽化時刻は温度較差が小さくなるほど早まる。これが、温度較差反応であるが、これまでの実験では平均温度が一定であり、温度較差を小さくすると、高温相は低くなり、低温相は高くなってしまった。そこで、高温相あるいは低温相の温度を固定して、いろんな温度較差での羽化を調べた。この条件では、温度レベル(平均温度)が変化する。それにかかわらず、高温相や低温相を固定しても、温度較差が小さくなると羽化時刻が早まった。したがって、温度較差は温度レベルよりも強く羽化時刻に影響することが示唆された(準備中)。 温度周期と光周期を組み合わせた条件において、タマネギバエの羽化を調べた。2つの環境周期を徐々にずらしていくと、羽化位相は温度較差の大きさと、光周期の位相角に従って変化した。すなわち、温度較差が大きいとき(8℃)、羽化は光周期よりも温度周期に依存した。温度較差が小さいとき(1℃)、羽化は温度周期よりも光周期に依存した。中間の温度較差(4℃)において、温度周期の高温相が光周期より15~18時間遅れたときに羽化の位相ジャンプが起こった。これらの結果は、タマネギバエの羽化が2振動体モデルによって説明できることを示している(watari and Tanaka,2010)。 2.他の土中で蛹化する昆虫の温度較差反応を調べる。 昨年度の結果を補填するために、シリアカニクバエの蛹を野外の異なる土深に設置し羽化を調べた。
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