研究分担者 |
山口 富美夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60244290)
古木 達郎 千葉県立中央博物館, 自然史歴史研究部, 上席研究員 (40250146)
嶋村 正樹 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教 (00432708)
坪田 博美 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10332800)
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研究概要 |
蘇苔類の系統関係を,(1)高次分類群の系統関係を明確に反映する形質の探索をめざした胞子体形質の再検討,(2)『単色素体性細胞』の系統的意義の再検討,(3)既存の分子系統学的解析方法に加えて,ゲノム上の共有派生形質と言える塩基配列中への配列の挿入パターンを利用した解析方法を利用した分子系統学的解析をとおして,総合的取り組みによって明らかにしようとするものである.本年度は,中部地方の高山帯,東北地方,四国地方等で野外調査を行い,生鮮資料を収集した.形態観察の効率化を図るために,凍結乾燥装置を新規導入した.蘇類では,ナンジャモンジャゴケ目とクロゴケ目の茎頂部分における単色素体を追求し,頂端細胞やメロファイトの電子顕微鏡観察によって,ナンジャモンジャゴケでは頂端細胞は単色素体性であるが,クロゴケは他の蘇類と同様に複色素体性細胞であることを突き止めた.ヨツバゴケ目については葉状原糸体の形態と胞子体の形態を調査した.胞子体の研究の過程で,日本にTetraphis trachypodaが分布することを明らかにした.タイ類ではコマチゴケ目の植物体(配偶体)の細胞学的研究を行い,その体細胞分裂期における微小管の動態を明らかにした.間期の細胞では陸上植物に典型的な環状の表層微小管系がみられた.前期には核を取り囲むように微小管が帯状に配列した分裂準備微小管帯が形成され,紡錘体の形成には苔類に特有の微小管形成中心である極形成体が関与する,中期には紡錘体の極領域は広くなり極形成体の存在は不明瞭となる.コマチゴケにおいても,陸上植物に典型的な細胞分裂装置(環状表層微小管系,分裂準備微小管体,フラグモプラスト微小管)がみられることは,これらの細胞分裂装置が陸上植物の進化の早い段階で配偶体世代において獲得されていたことを示唆するものである.タイ類ではまたフタマタゴケ目の分子系統学的研究を行った.次年度も本年度度同様に研究を進める
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