研究概要 |
近縁の2種が同所的に生息するようになると, 急速に形質置換を引き起こすことがある. しかし, 元来近縁な2種であるため, 種間交雑が生じる可能性も高い. 形質置換は2種の形態差を大きくするが, 種間交雑は2種の形態差を小さくする. カワトンボとオオカワトンボが同所的に生息する29ヶ所の集団に対して2種間の形態差を調べた結果,形態の種問差が大きい場合と小さい場合が認められた. さらにこれら29集団の核(ITS領域)とミトコンドリア(COI領域)のDNA解析を行った結果, 交雑が起こらず形質置換が生じている集団と, 交雑が生じて形質置換が起こっていない集団があった. 交雑が生じていない集団では, 翅色の種間差が交雑を抑制するための機構として働いている可能性が高い.
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