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2008 年度 実績報告書

カヤツリグサ科スゲ属植物の分子系統解析と分類学的再検討

研究課題

研究課題/領域番号 19570097
研究機関岡山理科大学

研究代表者

星野 卓二  岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (10122392)

研究分担者 高橋 英樹  北海道大学, 総合博物館, 教授 (70142700)
池田 博  東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (30299177)
勝山 輝男  神奈川県立生命の星, 地球博物館学芸部, 専門学芸員 (20214356)
キーワードスゲ属植物 / 染色体 / 核リボソーム遺伝子 / 葉緑体trnT-L-F領域 / 分子系統解析 / 亜属の分類 / 節の分類
研究概要

本研究では、日本各地より採集した、カヤツリグサ科スゲ属植物213分類群の核リボゾーム遺伝子ITS、ETS 1f領域を解析した。また、185分類群に関しては、葉緑体遺伝子trnL, trnL-F非コード領域を解析した。さらに、スゲ属に近縁なヒゲハリスゲ属などの4属7種も含めた。また、外群にはホタルイ属、ワタスゲ属、ミネハリイ属を用いた。最尤法で系統解析し、得られた分子系統から、日本産スゲ属植物の亜属と節の分類体系を検討した。
スゲ連の5属は単系統となり、その中に次の4つのクレードが認められた。(1)スゲ亜属タガネソウ節:小穂は複数で有柄、葉幅が広く、染色体数が2n=12とスゲ属内で最も少ない。(2)原始スゲ亜属:小穂は1個。(3)マスクサ亜属:小穂は複数でほとんどが無柄、花序は穂状、前葉はない。(4)スゲ亜属とハナビスゲ亜属:小穂は複数でほとんどが有柄、花序は総状または円錐状。近縁4属は、原始スゲ亜属と同一クレードに含まれ入れ子状になっていた。タガネソウ節は、国外の種を加えた解析でも同様な結果が得られていることから、新属または新亜属として区別できるものと考えられる。系統樹と節の対応では、タガネソウ節、バクサンスゲ節、ヒエスゲ節、タマツリスゲ節、イワカンスゲ節、ナキリスゲ節、サツマスゲ節は節の分類が強く支持された。しかし、ヌカスゲ節やアゼスゲ節はそれぞれ2クレードに分かれ、それぞれのクレードは形態で区別できることから節を分けることが望ましいと考えられる。また、ヒエスゲ節にキノクニスゲとセキモンスゲが含まれたが、小穂や果胞の形態も似ており、この2種はヌカスゲ節に移すことが望ましいと考えられる。本研究では、スゲ属植物の分子系統解析を行ない、形態に基づく現在の分類体系と比較した結果、近縁属および属内の亜属および節に関する新たな分類体系を提案した。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Phylogeny, Species Richness, and Ecological Specialization in Cyperaceae Tribe Cariceae2009

    • 著者名/発表者名
      M. J. Waterway, T. Hoshino, T. Masaki
    • 雑誌名

      Botanical Review 75

      ページ: 138-159

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 岡山県産クロミノハリイ(カヤツリグサ科)とその保全について2009

    • 著者名/発表者名
      矢野興一, 浅間(尾崎)聡子, 正木智美, 勝山輝男, 池田博, 星野卓二
    • 雑誌名

      莎草研究 (14)

      ページ: 9-16

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 日本産スゲ属の節の学名とその出典2009

    • 著者名/発表者名
      勝山輝男
    • 雑誌名

      莎草研究 (14)(印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A New Species of the Genus Carex (Cyperaceae) from Yakushima Island, Japan2009

    • 著者名/発表者名
      Katsuyama, T.
    • 雑誌名

      Journal of Japanese Botany 84

      ページ: 8-12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 日本産カヤツリグサ科スゲ属植物の細胞学的研究I2008

    • 著者名/発表者名
      矢野興一, 勝山輝男, 星野卓二
    • 雑誌名

      莎草研究 (13)

      ページ: 9-21

    • 査読あり
  • [雑誌論文] テクノビツト樹脂を用いたカンガレイ(Schoenoplectus triangulatus(Roxb. ) Sojak)の胚の形態学的研究2008

    • 著者名/発表者名
      平原友紀, 嶋村正樹, 星野卓二
    • 雑誌名

      莎草研究 (13)

      ページ: 51-54

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 韓国のスゲ属植物I2008

    • 著者名/発表者名
      矢野興一, 山本伸子, 池田博, 任炯卓, 孫〓徳, 星野卓二
    • 雑誌名

      莎草研究 (13)

      ページ: 55-60

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 岡山県で50年ぶりに採集されたクロタマガヤツリ2008

    • 著者名/発表者名
      池田博, 山本伸子, 狩山俊悟, 小林禧樹, 星野卓二
    • 雑誌名

      莎草研究 (13)

      ページ: 1-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Two New Species of Carex (Cyperaceae) from the Ogasawara (Bonin) Islands, Japan.2008

    • 著者名/発表者名
      Katsuyama, T.
    • 雑誌名

      Journal of Japanese Botany 83

      ページ: 331-338

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 標本データによる神奈川県における帰化植物の分布拡大2008

    • 著者名/発表者名
      田中徳久, 勝山輝男
    • 雑誌名

      神奈川県立博物館研究報告(自然科学) (37)

      ページ: 31-38

  • [学会発表] スゲ属タガネソウ節5種の系統解析2008

    • 著者名/発表者名
      雪江祥貴・正木智美・星野卓二
    • 学会等名
      日本植物学会中国四国支部
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      20080517-18
  • [学会発表] ネパール・ムスタンのスゲ属植物2008

    • 著者名/発表者名
      勝山輝男
    • 学会等名
      ヒマラヤ植物研究会
    • 発表場所
      東京大学総合研究博物館
    • 年月日
      2008-12-13
  • [学会発表] スゲ属の節の学名について2008

    • 著者名/発表者名
      勝山輝男
    • 学会等名
      第19回すげの会全国大会(佐賀大会)
    • 発表場所
      佐賀県唐津市呼子ロッジ
    • 年月日
      2008-05-03
  • [図書] Flora of Mustang, Nepal2008

    • 著者名/発表者名
      Teruo Katsuyama
    • 総ページ数
      431-471
    • 出版者
      Kodansha Scientific Ltd., Tokyo

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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