研究概要 |
平成19年度、採択された研究課題の下、以下の二点の成果を得た。 1.インテグリンα3β1は上皮細胞において高い発現を示し、成体基底膜において最も豊富に存在するラミニン-10の受容体として機能している。そこで、基底膜がどの様な作用分子機構により上皮細胞の機能を制御しているかを明らかにするため、ラミニン10-インテグリンα3β1より始まる細胞内シグナル伝達機構に焦点を当て研究を進めた。その結果、インテグリンα3β1と強固に結合している四回膜貫通型蛋白質であるテトラスパニンCDI51が、インテグリンα3β1を介するラミニン10接着によって惹起されるp130Cas,FAKおよびパキシリンのチロシンリン酸化シグナルを正に制御することを明らかにした。さらに、CD151は、細胞内シグナルの調節に加え、インテグリンα3β1を介した接着強度を増強することにより上皮細胞の形態や遊走の制御に関与することを見出した。 2.CD151はEC1,EC2と呼ばれる2つの細胞外領域を持ち、その内、EC2がインテグリンα3β1との相互作用に働いていることがわかっている。今回、10種類の抗CD151モノクローナル抗体(8C3,TS151r,14A2.H1,LIA1/1,VJ1/16,11B1,SFA1.2B4,11G5,TS151,14B5)のエピトープマッピングを行うことによりCD151とインテグリンα3β1の結合様式の解明を目指した。その結果、CD151のEC2上に存在する6アミノ酸残基から成る配列がインテグリンα3β1との結合に関与していることを新たに見出した。 なお、以上の成果について論文を既に作成し現在投稿中である。
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