研究概要 |
平成20年度、採択された研究課題の下、以下の二点の成果を得た。 1.成体基底膜において豊富に存在するラミニン-511の受容体として働くインテグリンα3β1は、テトラスパニン・ファミリー蛋白質に属するCD151と強固に結合している。そこで、このインテグリンα3β1-CD151複合体の機能的意義を明らかにするため、CD151に対するsiRNAおよび抗体を用いて、特にラミニン-511-インテグリンα3β1結合により引き起こされる細胞内シグナル伝達および細胞接着・遊走に焦点を当て研究を進めた。その結果、CD151が、インテグリンα3β1を介するラミニン-511接着により誘導されるp130Cas, FAKおよびパキシリンのチロシンリン酸化シグナルを正に制御することを明らかにした。さらに、CD151は、インテグリンα3β1を介した接着強度を増強することにより上皮細胞の形態や遊走の制御に関与することを見出した。 2.CD151はEC1, EC2と呼ばれる2つの細胞外領域を持ち、その内、EC2がインテグリンα3β1との相互作用に働いていることがわかっている。今回、10種類の抗CD151モノクローナル抗体(8C3, TS151r,14A2.Hl, LIA1/1, VJ1/16,11B1, SFA1.2B4,11G5, TS151,14B5)のエピトープマッピングを行うことによりCD151とインテグリンα3β1の結合様式の解明を目指した。その結果、インテグリンα3β1との結合に関与するCD151のEC2上に存在するアミノ酸残基を同定すると共に、インテグリンα3β1と安定な結合を示さない新たなCD151変異体の作製に成功した。 なお、以上の成果については論文にまとめ発表した。
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