研究概要 |
高等植物の窒素源は硝酸イオンとアンモニアであり、根から吸収される。硝酸イオンは根や葉においてアンモニアに還元される。引き続くアンモニア同化反応において、アンモニアはグルタミン酸と反応しグルタミン酸側鎖のカルボキシル基のアミド化に使われ、グルタミンとして炭素骨格に組み入れられる。グルタミン合成酵素(Glutamine synthetase, GS)は、ATP存在下、アンモニアを基質としグルタミンの合成を触媒する植物のアンモニア同化系の主要酵素である。植物のグルタミン合成酵素は、細胞質局在型GS1とプラスチド局在型GS2が存在し、GS1は多重遺伝子族によりコード(トウモロコシにはイソ酵素GS1a、GS1b、GS1c、GS1d、GS1eがある)されている。これまで、真核生物のグルタミン合成酵素として初やて、トウモロコシのグルタミン合成酵素GS1aの2.63Å分解能の結晶解析に成功した。GS1aの野生型の1)リン酸化MetSox+ADP 2)リン酸化PPT+ADP 3)AMPPNP+MetSoxの3種類のインヒビター、酵素、ADP(orAMPPNP)の複合体結晶の構造解析をした。 今回の研究でE129A,E131,E192,H249,R291,E297,R311,R332Aの8種類のミュータントを作成し、酵素活性測定を行い、各種ミュータントとインヒンータの複合体結晶を作成した。このなかで、X線解析に適した2種の複合体結晶GS1a(WT)+AMPPNP+PPTとGS1a(H249A)+ADP+リン酸化MetSoxの結晶解析を行った。これらの研究により、基質認識に重要な残基と基質認識機構の知見が得られた。
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